グローバル バリュー チェーン。 ベトナムのグローバル・バリュー・チェーン:政府が取り組むべき今後の課題は、輸出増による地域経済へのさらなる付加価値創生:時事ドットコム

グローバル・フードバリューチェーン(GFVC)推進官民協議会:農林水産省

グローバル バリュー チェーン

1.日本企業の海外展開 日本企業は、積極的に海外直接投資を拡大し、海外現地法人の設立を通じて海外展開を行ってきた。 業種別には、世界金融危機後、製造業が企業数で50%を下回り、非製造業が緩やかにシェアを伸ばしている 243。 ここでは、まず世界に展開する日系海外現地法人の企業数、売上高、経常利益の推移を見たうえで、次に海外のどこに立地しているのか、地域ごとの特色を概観する。 業種別に見ると、製造業が売上高の50%弱の水準で推移している。 世界金融危機までは順調に拡大してきたが、その後は減少、回復を繰り返し、伸び悩みが見られる。 業種別には、世界金融危機までは、製造業シェアが低下して非製造業が伸びてきたが、金融危機後は製造業のシェアが上昇する動きも見られる。 直近で海外生産比率は23. 8%と、世界における日系製造業の全生産の4分の1は海外で行われており、海外に現地法人を有する企業だけで見れば全生産の4割近くが海外生産となる 244。 その海外展開先としてアジアの存在感が高まっている。 アジアの中では中国の急増が目立ち、ASEAN諸国も緩やかに増加している 245。 業種別には、輸送機械、情報通信機械などの機械製造業で半分を占め、鉄鋼、化学などが続いている。 また、後で見るように、アジアには最終財の生産を主とする企業とともに、多くの中間財の生産を主とする企業も進出しており、日本からの調達とともに現地国内でも中間財をやりとりする産業集積が形成されていることが示唆される。 欧米に比べて相対的に規模が小さい企業が多いのもアジアの特色と言える。 アジアでは非製造業も約8,200社が立地しているが、世界の日系非製造業の6割弱と製造業に比べれば世界シェアは低い。 アジアでは製造業中心に進出し、それをサポートする商業、サービス、物流、ロジスティクス関係が多く展開していると見ることができるかもしれない。 米国、欧州では、アジアと異なり、むしろ非製造業中心の立地となっている。 非製造業の中では、卸売業が多いのはアジアと同様であるが、米国ではサービス業シェアが大きい。 ただし、米国の売上高は中国、ASEANに匹敵しており、規模の大きな企業が多いことが推測される。 非製造業においては米国が突出して拡大しており、アジアにおける売上は必ずしも大きくない。 ただし、特に非製造業において世界金融危機後、アジア、欧州においては利益が伸び悩んでいる。 実に、上位10か国のうち9か国がアジアとなっている。 併せて売上額も表示したが、首位の米国、第2位の中国の二か国が突出しており、第三位のタイ以下を大きく引き離している。 また、売上額上位10か国を見ると、アジア諸国のほか、メキシコ(第5位)、カナダ(第7位)が挙げられ、米国を中心としたGVCの存在が示唆される。 欧州諸国の中では英国(第9位)が上位に入っている。 日系海外現地法人の利益率を見ておく。 業種別には、地域横断的に製造業の方が利益率が高い。 2.アジアを中心にしたGVCの展開 日系海外現地法人が、製造業を中心にアジアにおいて、企業数でも、売上高でも拡大してきていることを見た。 ここからは、アジアの日系製造業に焦点を置いて分析していく。 最初に、アジアに展開する日系製造業現地法人の特徴(部品供給業者なのか組立業者なのか、企業規模、企業内取引比率等)を欧米に立地する現地法人と比較しながら見ていく。 その上で、アジアを中心としたGVCについて二つの視点から考察する。 一つ目は、日系海外現地法人の視点から、日本からの調達、製品の販売先などを考える。 二つ目は日本から輸出される付加価値の視点から最終需要地や日本の付加価値の流れを概観する。 まず、日系製造業現地法人の視点から売上高及び日本からの調達額(日本の輸出)を立地地域別に見てみる。 アジアにおける現地法人の売上高の増加とともに、総じて日本からの調達額も拡大している 246。 次に、日系海外現地法人を機械製造業に焦点を当てて主要製品の性格(最終財か中間財か)で分けてみる。 これは必要な中間財は日本から輸入するとともに、現地でも供給できるようなサプライ・チェーンの存在を示唆している。 先の分析で、アジア諸国は売上額に対して立地企業数が多かったが、これはアジアでは組立業者とともに、多数の中小の部品供給業者(特に情報通信機械、輸送機械)が進出しているためと思われる。 アジアに立地する企業は欧米に比べて資本金規模の小さな企業のシェアが高いことが見て取れる。 さらに日本国内の親会社の立場から考えてみよう。 日系海外製造業現地法人の日本からの調達は、親会社の側から見れば、海外現地法人に対する基幹部品などの中間財輸出に当たる。 国内製造業の輸出のうち、総じて資本関係を有する関係会社向け輸出(企業内取引)のシェアが高い 248。 時系列で見ると、2000年代、世界金融危機まで、非関係会社向け輸出がより早いペースで伸びたため、関係会社向け輸出シェアは緩やかに低下。 しかし、世界金融危機後は、非関係会社向けが伸び悩む中で、関係会社向けは堅調に増加。 結果として、関係会社向け輸出(企業内取引)シェアが上昇している。 関係企業向けシェアを相手地域別に見ると、北米向けが最も関係会社向けシェアが高く、欧州が次ぐ。 アジア、中国向けは相対的に関係会社向けシェアが低い。 246 詳しく見れば、現地調達の拡大に伴い、日本からの調達額が以前ほど拡大しなくなってきているが、この点については次節で述べる。 247 調査においては、主要製品が最終財と中間財のどちらに該当するかを質問しており、必ずしも回答した財のみを生産しているわけではない。 一つの目安として表示した。 248 「経済産業省企業活動基本調査」では、親会社、子会社及び関連会社を「関係会社」としている。 ここで、「子会社」とは、ある会社(親会社)が50%超の議決権を所有する当該会社をいう。 また、その子会社又はその親会社とその子会社合計で50%超の議決権を所有する当該会社(みなし子会社)及び50%以下であっても経営を実質的に支配している場合も含む。 「関連会社」とは、ある会社(親会社)が20%以上50%以下の議決権を所有する当該会社をいう。 また、15%以上議決権を所有していること等により、重要な影響を与えることができる会社を含む。 なお、日本に立地しているのが外資系企業の場合は、「関係会社」向け輸出の中に、本国に立地する親会社への輸出も含むことになる。 業種別には、電子部品、輸送用機械、電気機械、情報通信機械など、機械関係において関係会社向けシェアが高く、企業内での国際的生産分業が行われている可能性を示唆している。 このような日系製造業現地法人のGVCを考えてみよう。 既に見たように、日系製造業はアジアに多く展開しており売上規模も大きい。 例えば、図では中国に立地する日系製造業現地企業は日本から3. 5兆円の調達を行っている。 その際に日系現地法人は日本から調達した中間財とともに現地等で調達した中間財も利用している。 その生産物は現地で販売されるとともに、同じ地域内や日本、欧米にも輸出される。 中国の例であれば、約27兆円の売上があり、そのうち、現地国内で約15兆円、アジア地域へ約7兆円、日本へ約5兆円を販売している。 この際に現地の日系現地法人が他の日系現地法人へ中間財を供給することもある。 これらの一連の財の流れがGVCにあたる。 まず、日本からの調達を考えてみる。 その他の調達先としては、現地国内が最も大きなシェアを占め、次が同じ地域の域内(例えばアジアに立地していればアジア域内)からの調達が多い。 なお、経済統合が進む欧州では、欧州域内調達が現地国内に匹敵する規模となっている。 この日本からの調達のシェアは年とともに次第に低下する傾向にある(その詳細は次節に譲る)。 売上相手地域としては、アジア、北米、欧州とも総じて、立地国の国内販売が大きく、同じ地域の域内向け販売が次いでいる。 アジアの場合は日本への輸出も大きい。 北米、欧州の場合は、日本への輸出は限られている。 これには、北米・欧州の現地市場が大きいことや、日本との距離が離れていて輸送費がかかることなどが影響していると考えられる。 一方、アジアから北米など地域をまたがる売上は全体の売上規模からすれば意外に小さい。 詳細に見れば売上の相手地域別構成は立地地域によって相違があることが分かる。 ただし、世界金融危機後は国内販売が金額・シェアとも大きく落ち込んでいる。 それでも直近で売上の約7割を国内、約2割を北米(カナダ)が占めている。 これに対して、欧州に立地する場合は、国内販売と欧州域内がほぼ拮抗しており、EU内のヒト・モノ・カネの移動自由化の影響が考えられる。 さらに2010年代は欧州域内のシェアが緩やかに上昇している。 北米、アジア、日本向けも小幅ながらもシェアが上昇している。 アジアに立地する日系製造業は、欧米に比べて売上の増加基調が鮮明で、特に現地国内販売を中心に売上が増加している。 結果として、売上に占めるシェアは、日本、アジア、欧米向けは低下し、国内向けが上昇している。 ただし、2012年以降はアジア向けシェアが上昇する傾向も見られる。 直近では、現地国内が約5割、アジア域内が約2割強、日本が約2割弱。 域外の北米、欧州向けはそれぞれ1~2%と限られている。 米国の中国に対する貿易制限措置によって日系現地法人への影響が懸念されている。 ここでは中国に立地する日系企業を製造業に焦点を当てて概観してみる。 中国に立地する日系製造業現地法人は約3,700社、売上高は約27. 4兆円(2016年度時点)。 その売上先を見ると、金額ベースで売上の過半が現地販売であり、輸出は売上額の44. 輸出のうちアジア(日本以外)向けが24. 4%、日本向けが16. 7%で、北米(米国及びカナダ)向けは1. 1%となっている。 現地販売の中には、現地の他社に中間財を供給し、その完成品が最終的に輸出に回るなど、サプライチェーンを通じた影響も考えられるので一概にはいえないものの、北米に対して直接輸出される金額は限られている。 縦軸は売上額に占める対北米輸出のシェア、横軸は資材調達額に占める日本からの調達シェア、円の大きさは対北米輸出額を反映している。 縦軸の上にある業種ほど米国の対中貿易制限の影響を受けやすく、横軸の右にあるほど日本からの調達(日本にとっては対中輸出)に影響が及びやすい。 当然、円の大きさが大きいほど影響の規模も大きくなる可能性がある。 これを見ると、業種別に対北米輸出額が最も大きいのは輸送機械で、これに情報通信機械、電気機械が次いでいる。 この中で北米向け輸出シェアが比較的高いのは電気機械である。 日本からの調達(日本にとっては対中輸出)に影響が及びやすいのは情報通信機械で、資材調達の4割以上を日本から輸入している。 日系製造業現地法人は約1,100社、売上高は約30. 3兆円。 売上額の約7割が現地販売で、輸出の多くはカナダ向けで、アジア向け輸出は全体の1. 6%となっている。 ここからは2つ目の視点である付加価値統計を使って日本のGVCを考えてみる。 まず、日本の輸出の最終需要先がどこで、過去からどう変わっているかを見てみよう。 従来の輸出統計と比べると、首位の米国・中国の順位が逆転する。 中国の場合は輸出額よりも中国を最終需要地とする付加価値額の方が少なく、反対に米国は最終需要地とする付加価値の方が大きい。 これは日本の中国向け輸出には、中国国内で加工され再輸出される中間財が多く含まれていること、反対に米国向け輸出には第三国経由で日本の付加価値が届いていることなどを示唆している。 アジアの韓国、台湾、タイ等も最終需要地とする付加価値ベースの方が金額が少なく、国際的な生産分業に組み込まれていることを示している。 このように最終需要地の観点から付加価値輸出相手国の推移を見てみる 249。 主要輸出先は2005年時点では米国が突出した首位であったが、世界金融危機後に大きく減少した。 その後ある程度回復するも、世界金融危機前の水準までは戻らないままほぼ横ばいで推移している。 一方、中国向けの付加価値輸出は堅調に増加。 両国を比べると2005年は米国向けが中国の2倍の規模であったが、中国向けが堅調に増加して世界金融危機直後の2009年にほぼ同水準となり、それ以降は両国が拮抗して推移している。 なお、第3位以下は、韓国、台湾、ドイツと続くが上位2か国とは大きく引き離されている。 また、日本の輸出に占める各国付加価値や第三国の輸出に占める日本の付加価値の推移を見てみる。 一方、第三国の付加価値輸出に占める日本の付加価値のシェアとして中国の例を見てみる。 ただし、シェアの低下は米国を始め他国も同様の動きとなっている。 中国の地場企業の成長や主要国現地法人による生産の現地化が進んでいる可能性がある。 なお、中国の付加価値の中には日系現地法人が生産した付加価値部分も含む。 矢印は各国・地域の輸出に占める日本の付加価値を示している。 併せて、日本から輸入される付加価値総額及び、そのうち、その国・地域において、最終消費・固定資産投資として最終需要となる額を表示した。 国内で需要されない付加価値は加工・組み立てられた製品に含まれて再び輸出されていると考えられる 250。 東アジアの場合は、総じて日本からの輸入に含まれる付加価値のうち、製品に含まれて再び輸出に回る部分が多く、背景に国際的な生産分業が行われていることを示唆している 251。 なお、当然のことながら、日本からの輸出には輸出額に対して日本の付加価値のシェアが高く、東アジア諸国から再輸出される分に関しては輸出に対して日本の付加価値シェアは低い。 このように再輸出される日本の付加価値の動きを見ると、第1章第2節で論じたような日本から中国を経由して米国に至るGVCの流れがうかがえる。 そのほかにも、日本からASEANやメキシコを経由して米国やEUに至る流れ等も見える。 東アジアの中では、日本の付加価値がGVCの関係国の間を動いている。 また、各国の国内で最終消費又は総資本形成として需要される付加価値額も大きい。 例えば、日本から中国への輸出を考えると、中国から米国への輸出に含まれる日本の付加価値額以上に中国国内で総資本形成として利用される日本の付加価値額の方が大きい。 これは本章第1節で見たように、2019年の日本の中国向け輸出の中で、電子部品の輸出が低下するとともに、半導体製造装置や工作機械の輸出にも影響が出ていることとも符合する。 コラム9 米国企業の海外展開 (1)米国企業の海外進出企業数 本節ではこれまで、日本企業の海外事業展開について分析してきたが、それらを踏まえ、ここでは米多国籍企業 252の海外事業展開の動向について概観する。 日系企業と同様、米国多国籍企業も積極的に海外展開をしており、2016年時点(速報値)では、約3万4,900社が海外で操業している。 2001年時点と比較すると、海外現地法人数は1万3千社程度増加している。 足下で見ても、2014年には約3万4,300社、2015年には約3万4,500社と堅調に増加してきている(コラム第9-1図)。 また、米国の対外直接投資残高も、2000年代当初から右肩上がりで推移してきており、米国企業が積極的に海外での投資を増やしていることが分かる(コラム第9-1図)。 コラム第9-1図 米系海外現地法人の企業数と対外直接投資残高の推移• 業種別の企業数では、製造業が全体の約3割を占めており、製造業では、化学、コンピューター・電子部品関連、機械などの企業が積極的に海外展開している(コラム第9-2図、コラム第9-3表)。 非製造業で見ると、金融・保険業の企業数がとりわけ多く、次いで卸売業、情報通信業となっている(コラム第9-3表)。 コラム第9-2図 米系海外現地法人数の業種別シェア(2016年)• コラム第9-3表 米系海外現地法人業種別の企業数(2016年) 企業数に占める製造業、非製造業のそれぞれの割合の推移をみると、全体の約3割を占める製造業の割合はほぼ横ばいで推移してきていることが分かる(コラム第9-4図) 253。 2000年代当初より、米国の海外子会社(海外現地法人)の約7割を非製造業が占める構造は変わっていない。 コラム第9-4図 米系海外現地法人の企業数のシェア(製造業・非製造業)• 他方、企業数の多い金融・保険業、卸売業は前年からほぼ横ばいで推移している(コラム第9-5図)。 コラム第9-5図 米系非製造業海外現地法人のセクター別企業数の推移• 更に、立地地域別にみてみると、欧州には米系現地法人数の5割近い約1万7千社が立地している。 欧州に次いで、アジア太平洋州地域に立地する企業数が多く、中南米と比べても倍近くの企業数がある(コラム第9-7図)。 コラム第9-6図 米系製造業海外現地法人のセクター別企業数の推移• コラム第9-7図 米系海外現地法人の立地地域別企業数の推移• 国別に分けて現地法人数をみると、2001年時点では英国が突出して多く、次いでカナダ、オランダ、ドイツと続いていた。 アジア諸国では、日本が最も多く、次いで中国となっていた(コラム第9-8図)。 直近(2016年時点)でみると、立地企業数は英国が最も多い点は変わらないが、他国との差が縮まりつつある。 アジアに着目すると、中国に立地する企業数が2001年時点より2倍以上に増加しており、アジアにおいては立地企業数が最も多くなっている(コラム第9-9図)。 コラム第9-8図 米系海外現地法人の立地地域別展開(2001年)• コラム第9-9図 米系海外現地法人の立地地域別展開(2016年)• 252 2015年時点で米国多国籍企業が議決権の10%以上を所有する在外子会社の総資産は3. 3兆ドル、売上3. 0兆ドル、雇用者数649万人。 このうち議決権の過半数を所有する在外子会社MOFA(Majority Owned Foreign Affiliates)の資産は2. 8兆ドル、売上2. 5兆ドル、雇用者数542万人と、それぞれ在外子会社全体の約8割前後を占めている。 ここでは、議決権の過半数を所有する在外子会社を「在外子会社」、「現地法人」とする。 253 2008年と比較すると、割合は微減しているが、これは公表データの変更によるものが大きいと思われる。 具体的には、2009年以降、以前は含まれていなかった銀行業(預金業務)を含む企業数が計上されている。 (2)売上額・販売先 続いて、現地法人(全産業)の売上総額をみると、2014年まで上昇基調で推移してきていたが、足下では減少してきていることが分かる(コラム第9-10図)。 国別でみると、アジアで最も売上額の大きいシンガポールは、2014年をピークに減少傾向にあり、我が国に立地する企業の売上額についても、東日本大震災のあった2011年以降、頭打ちとなっている。 他方、中国に立地する現地法人の売上額は、足下では減少したものの、長期的には堅調に増加しており、在中現地法人の重要性が高まっていると言えよう(コラム第9-11図)。 コラム第9-10図 米系海外現地法人(全産業)の地域別売上高推移• コラム第9-11図 米系海外現地法人(全産業)のアジア地域での売上高推移• 業種別でも売上額の推移を見てみる。 前述のとおり、企業数では製造業の占める割合は3割程度に過ぎないが、売上額では約6割近くを占めている。 企業数に占める製造業の割合はほぼ横ばいで推移しているものの、売上に占める製造業のシェアは逓減してきている(コラム第9-12図)。 他方、非製造業の占める割合は、僅かながら大きくなってきている。 3%)の伸びが目立つ。 特に、情報セクターでは伸びが安定してプラスで推移しており、海外での米国IT関連企業の存在感の高まりが見られる(コラム第9-13図)。 コラム第9-12図 米系海外現地法人売上高のシェア(親企業業種別) 254• コラム第9-13図 米系海外現地法人売上高の伸び率(親企業業種別)• 254 現地法人の主要業種の売上高データが非公開になっている項目があったため、主要業種のデータが取得可能であった親企業の業種別売上高のデータを使用した。 先に述べたとおり、売上高に占める製造業の割合は逓減してきているものの、依然として製造業の重要性は大きく、雇用などへの影響が大きいことから、以下では、製造業を更に詳しく見ていくこととする。 製造業企業の売上高推移をみると、2009年以降、欧州に立地する海外子会社の売上は浮き沈みがある一方、アジア太平洋州地域に立地する海外子会社は基本的に上昇基調で推移してきている(コラム第9-14図)。 コラム第9-14図 米系製造業海外現地法人の立地地域別売上高の推移• 販売先をみると、在欧州海外子会社の立地国内販売額と第三国向け販売額が同規模程度となっており、米国向け販売額は相対的に少ない。 欧州に次いで売上の総額が大きいアジア太平洋地域の現地法人売上高についても、米国向け販売は約1割程度であり、立地国内向け販売が多いことが分かる。 他方、NAFTA地域や中南米等、米国と地理的に近い国においては、米国向け販売額が売上総額に占める割合は比較的大きい(コラム第9-15図)。 コラム第9-15図 米系製造業海外現地法人の販売(2016年) 加えて、立地国内向け販売、第三国向け販売、米国向け販売が売上総額に占める割合の推移を示したのが、コラム第9-16図、コラム第9-17図、コラム第9-18図、コラム第9-19図である。 まず、売上総額の最も大きい在欧州企業の販売先を見る。 先に述べたとおり、立地国向け販売額と第三国向け販売額の割合は拮抗しており、長期的にみると、立地国向け販売シェアは低下してきている(コラム第9-16図)。 コラム第9-16図 米系製造業現地法人の売上相手先シェアの推移(在欧州)• コラム第9-17図 米系製造業現地法人の売上相手先シェアの推移(在アジア・太平洋州)• コラム第9-18図 米系製造業現地法人の売上相手先シェアの推移(在中国)• コラム第9-19図 米系製造業現地法人の売上相手先シェアの推移(在中南米)• アジア太平洋州地域に立地する現地法人の販売先のシェアでは、立地国向け販売の割合は、ほぼ横ばいで推移している一方、第三国向け販売割合は上昇している。 米国向け販売については、縮小傾向にあるといえる(コラム第9-17図)。 また、販売額の大きい中国に着目すると、2009年以降、中国国内向け販売のシェアが増加した一方で、第三国向け販売シェアは低下しており、生産拠点としてではなく市場としての中国の存在感が高まってきていることが分かる(コラム第9-18図)。 一方、米国から地理的に近い中南米地域に立地する企業は、米国向け販売シェア、立地国向け販売シェア、第三国向け販売シェアは、ほぼ横ばいで推移しており販売先の構造は変わっていない。 ただし、他の地域に比べ輸送コストが高くないことからも、米国向け輸出の割合が相対的に高い(コラム第9-19図)。 さらに、企業数及び売上額が伸びている中国に立地する企業について着目していく。 中国に立地する海外子会社の売上に占める米国向け輸出額の占める割合を横軸に、米国からの調達割合を縦軸で示し、売上総額を円の大きさで表したのが第コラム第9-20図である。 まず、売上規模に着目すると、コンピューター・電子部品、化学、輸送機械などが大きいことが分かる。 米国向け輸出の割合が大きい業種は、電気機器、コンピューター・電子部品などである。 さらに、売上総額に占める米国からの輸入割合は(米国からの調達度合い)は輸送機械の割合が大きい。 コラム第9-20図 中国の米系製造業現地法人の対米輸出(2016年)• 長期的推移でみると、売上額に占める米国への輸出割合は、2008年以降、低下傾向が続いている(コラム第9-21図)。 世界金融危機以降、中国に立地する米系製造業にとって米国市場の存在感が低下してきている可能性がある。 米国からの調達額についても、売上に占める割合は、2010年に一時的に上昇したものの、趨勢的には低下が継続しており、米国から輸入せずとも、立地国内にて調達できる度合いが以前よりも上がってきていると言えよう。 コラム第9-21図 米国からの調達額及び米国への輸出額の総売上に占める割合(中国の米系製造業)•

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グローバル バリュー チェーン

バリューチェーン(価値連鎖)分析とは バリューチェーンとは、原材料の段階から最終顧客で消費される段階において、各段階における付加価値 value の流れのことです。 バリューチェーンは、自社の事業活動の中で、競争優位性の構築に寄与しているのはどの部分か(すなわち、価値の源泉はどこか)を分析するためのフレームワークです。 バリューチェーンは、業界のを発見するときにも有効なフレームワークになります。 下図は、バリューチェーンのイメージ図です。 この図は、バリューチェーンを考案したマイケル・ポーターによって分類された企業活動をもとに描いています。 しかし 、バリューチェーン分析は主たる活動を漏れなく網羅できていればよいので、分割の仕方に厳密な決まりはありません。 例えば、営業の中にマーケティングの要素があっても、企画の中にマーケティングの要素があってもよいですし、マーケティングを独立した活動と捉えることもできます。 バリューチェーン分析のメリット バリューチェーン分析をすることで、次のようなことがわかります。 会社の事業活動プロセス• プロセスの中で相対的に重要な役割を占めている機能• プロセスの中で競争優位のある機能• プロセスの中で競争優位の少ない機能• 上記のことから、事業活動の中で今後強化すべき領域 バリューチェーンの事例 バリューチェーンは業界によってその形が大きく異なります。 以下に、5つの業界、製造業、建設業、サービス業、銀行、病院を代表例としてあげてみました。 <製造業> <建設業> <サービス業> <銀行> <病院> バリューチェーン分析をする際には、このようにプロセスを表すだけでなく、プロセスの中でかかるコストとともに表すのが一般的です。 これを一般的に事業連鎖と言います。 バリューチェーンを生みの親、マイケル・ポーターは、これをバリューシステムと呼んでいます。 製造業における、バリューシステムは、次のようになります。 こうしたバリューシステムは、以下の図のように、業界全体から個別の企業活動に、個別の企業活動をさらに細かいプロセスに分解することもできます。 バリューチェーン分析の使い方 ここからは、バリューチェーン分析の使い方を解説していきます。 1.主なステップ・プロセスを特定する バリューチェーン分析をするには、まずそのビジネスの鍵となるステップを特定します。 細かい活動まで書くとキリがないので、ビジネスのフローを大まかにとらえられる切り方をします。 2.最も重要な要素をさらに分解する キーステップの中で、さらに重要な要素を分解していきます。 重要な要素とは、差別化要素の大きいステップや、その活動にかかるコストが大きい要素のことをいいます。 3.各機能にかかっているコストを分析する 各機能にかかるコストをできる限り正確に把握します。 次に解説する強み、弱みやKSFとの整合を考える際に、本来かけるべきところに費用をかけられているか、本来かけなくてもよいところを最小限にできているかなど分析しておく必要があります。 コストは、先ほども示したように、プロセスごとに、を使って描くとわかりやすくなるでしょう。 4.自社と競合でそれぞれの強みと弱みを分析する 要素をある程度切り分けて、そこにかかるコストを把握することができたら、それぞれの要素で自社と競合でどのような違いがあるのか?それは業界のKSFと合致したものか?などを分析します。 こうしたバリューチェーンのどこに大きな付加価値をつけるかによって、企業のコスト構造は大きく変わってきます。 例えば、同じ書籍販売業でもアマゾンのようなネット書店とジュンク堂のような店舗型の書店ではバリューチェーンの構造が異なり、結果コスト構造も大きく異なってきます。 バリューチェーンを他のビジネスフレームワークと組み合わせて活用することもあります。 詳細は環境分析のプロセスを参照ください。 5.バリューシステムも分析する 最後に、業界全体を俯瞰するために、バリューシステムも分析します。 例えば、以下のようなバリューシステムを描くと、各プロセスにおけるプレーヤーの数と利益率を分析し、構造的に儲かる業界なのかどうかを確認できます。 ここから各レイヤーがどのように動こうとしているかを分析することで自社業界のレイヤーで起こることを予想することもできます。 バリューチェーン分析と経営資源配分 先ほども書いたように、バリューチェーン分析をすることで、事業活動の中で今後強化すべき領域が明確になります。 例えば、バリューチェーン分析の結果を以下のように「事業活動における付加価値の大小」と、「相対的な優位性」を軸にして仕訳ける方法があります。 バリューチェーン分析における各機能の仕訳例 このようにマトリックスに整理すると、各事業活動の中で、自社の内部資源をどのように集中させて、どのように外部資源を獲得・活用するかが一目瞭然になります。 こうした議論に発展できるのが、バリューチェーン分析のメリットです。 なお、資源配分を考えるのに有効なフレームワークとしてがあります。 これは主に電子製品のバリューチェーンにおける高付加価値領域と低付加価値領域を表現したもので、電子製品事業をする際の資源配分の考え方として活用できます。 バリューチェーンの再構築・デコンストラクション バリューシステムでは、業界の川上から川下まで業界全体での価値連鎖を表していました。 このバリューシステムの構造は、人件費の高騰や技術の進化によって再構築が必要になってくることがあります。 その再構築のことをデコンストラクションと言います。 業界の変化を捉えて積極的に競争優位を築くためにデコンストラクションを行います。 デコンストラクションをする際のチェックリスト デコンストラクションを実施する際の機会や脅威を見つけるためのチェックリストとして、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)では、以下の5つをあげています。 バリューチェーン、バリューシステム全体の中で、コストの割に価値の低いところはどこか(人件費が該当する場合は、流通における中抜きなど考えられる)• 自社の事業は、顧客のバリューチェーンの一部か、全部か• 自社の事業で、ネットワークによって影響を受けるのはどこか• 現在の戦略的資産のうち、負債となるものはどれか(バリューチェーンを再構築することで不要になる資産)• どのような新しい活動・能力が必要になるか デコンストラクションの例 従来のバリューチェーンは以下のような形をしていますが、デコンストラクションの考え方ではバリューチェーン上の特定の機能にフォーカスしていく形になります。 レイヤーマスター レイヤーマスターとは、ある特定の付加価値活動に集中して、競争優位性を築くプレーヤーのことです。 インテルやマイクロソフト、自転車部品のシマノ、ヒロセ電機のコネクタなどがレイヤーマスターの代表的存在です。 オーケストレーター オーケストレーターとは、コアとなる付加価値活動に注力して、他をアウトソーシングすることにより全体の価値を高めるプレーヤーのことです。 パソコンダイレクト販売のデルはオーケストレーターの代表的な存在です。 マーケット・メーカー マーケットメーカーとは、既存チャネルの弱いところを乗っ取って市場を作るプレーヤーのことです。 メーカー系列店の弱みをついて成長した家電ディスカウンターや、実店舗と顧客を仲介するネット販売業は、マーケットメーカーの代表例です。 パーソナル・エージェント パーソナルエージェントとは、顧客の購買代理店となって情報ナビゲーターになることです。 刊行されているあらゆる書籍を検索でき、配達日が明確で、読者のフィードバックがわかるアマゾンは、パーソナルエージェントの代表例です。 デコンストラクションが起きる業界 BCGは、デコンストラクションの起きる業界の条件として以下の5つをあげています。 バリューチェーン分析をすることで、自社、競合のビジネスプロセスのどこに強みがあり、価値の源泉になっているのか、どこに資源を集中させるべきかを明らかにすることができる。 業界全体のバリューシステムを分析することで、業界の中で誰がどのような役割を担っているのか、誰がキープレイヤーなのかを明確にすることができる。 そのバリューシステムが、過去から未来に渡って、どのように変化し、再構築されているのかを図示することも可能になる。 この分析は、全ての産業において活用可能。 自分の会社や業界に適用してみることで戦略的な示唆を得ることができる。 経営戦略論をもっと知りたい方は 悩めるビジネスパーソン必見の記事はこちら.

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ベトナムのグローバル・バリュー・チェーン:政府が取り組むべき今後の課題は、輸出増による地域経済へのさらなる付加価値創生

グローバル バリュー チェーン

企業内貿易が国際貿易の主要部分を占めるようになったことは、生産工程におけるグローバルな相互依存が深化したことを示している。 本稿においてWTO前事務局長は、このような変化をふまえ、国家間貿易に関する考え方や測定方法を見直す必要があると述べる。 相互依存の深化により、様々な部門で付加価値を加えられるようになったが、貿易障壁の導入は複雑になる。 現代的視野に立たなければ、効果的な貿易政策は実施できない。 今日、グローバル・バリューチェーンや生産チェーンは拡がっており、大抵の製品やサービスは、多くの国の投入財を組み合わせて生産されている。 我々は今でも国家間貿易をリカードモデルで捉えがちだが、実際、貿易の大部分はグローバルな多国籍企業「内」や取引先との間で行われており、我々の身の回りにはこのような仕事の貿易 trade in tasks の産物が多く見られる。 バリューチェーンの出現により、もはや特定の製品やサービスの生産においての競争力は必要ではなくなった。 特定の仕事においての競争力があれば十分なのである。 各国の経済に占めるサービス業の割合が高まり、技術や輸送の普及によって、市場間の距離は急速に縮まり、(先進国、途上国を問わず)すべての国にとって、貿易を通じた新たな成長機会が生み出されている。 2020年までに世界貿易は、ほぼ三等分になると予想されている。 つまり、わずか30年程度の間に北北貿易の相対的割合が半分になるということである。 生産ネットワークの統合が進んだ結果、雇用創出や経済成長への貢献度において、輸入が輸出と同様に重要性を持つようになったことは重要な点である。 したがって現代においては、輸入障壁を高くするなどの「保護主義的」措置を講じて雇用を守ろうとすると、輸出目的の輸入に依存している国はかえって逆効果に陥ってしまう可能性がある。 このような論理は、貿易に関する政策論議を変化させつつあるが、貿易が経済成長や雇用、技術革新に与える影響をより正確に捉え、より細やかで実証に基づく意思決定につながっていくべきだろう。 実際のところ、輸入を上回って輸出できる能力こそが一国の経済力であるという、数世紀前の「重商主義」はあまり聞かれなくなってきた。 以上は、貿易の計測方法を変更する必要性を裏付けるものである。 従来の計測手法では、輸入品の商品価値総額は、原産国一国だけに計上されてしまう。 国内の投入財で生産される最終財のみを貿易で取引していた時代には、この計測方法は適確だった。 輸入原料の加工が一国だけで行われる場合も、適確に計測できただろう。 しかしこの手法をiPhoneのように、さまざまな国が各工程を担当して生産される(Made in the World)製品に適用すると、二国間の貿易収支が過大に評価されてしまい、付加価値を生み出したその他地域の貢献が過小評価されてしまうことになる。 このような不一致によって、主に次のような影響が考えられる。 つまり、国家間貿易が過大評価され反貿易感情へと結びつくこと、また、世界の生産や貿易の速度、方向性、現実を反映していない政策につながる可能性である。 政策立案者が十分な情報に基づいて貿易・経済政策を立案するためには、適確で実証に基づいた方法を用いて貿易の本当の価値を計測する必要がある。 Made in the Worldイニシアティブ 数年前に気付いたのだが、WTOにおける貿易交渉は、国際ルールの近代化を目指し、21世紀の現実をより良く反映させることを目指しているにもかかわらず、実際には依然として19世紀の国際通商観に基づいて行われている。 このことは、(最近のバリ合意で一歩前進したものの)ドーハ・ラウンド交渉の難航と当然、関係している。 しかし、統計に関する国際条約の変更には何年もかかり、悠長に待ってはいられない。 そこでWTOの統計担当者に依頼して、必要な統計ツールを用いて従来の貿易の計測法と現在の貿易の実情との間の溝を埋める方法を考案してもらった。 その後、2008~09年の世界金融危機やその後の世界貿易の急激な落ち込み Great Trade Collapse があり、この問題の重要性にアナリストが注目するようになった。 世界中で行われている産業間の取引を勘定に入れるため、統計担当者は、国民経済計算体系を本質的に作り直す必要があった。 基本的な考え方は単純で、ノーベル経済学賞を受賞したWassili Leontiefの1960年代の研究に遡る。 巨大な国際産業連関表を作成し、最終財・サービスの生産と消費に至るすべての過程の産業間貿易を記載する。 考え方は単純だが、実際の作業は複雑である。 国際産業連関表 詳細は省くが、このような仕組みの実現化には、各国の国民経済計算法の調和に加え、貿易で取引された財・サービスが消費・投資目的なのか、もしくは新たな生産工程に使用されるのか、用途についても詳細な分析が必要となる。 もちろん後者の場合、バリューチェーンに関わる国際貿易である可能性があるため、極めて重要である。 つまり、財・サービスを問わず、中間製品を輸入し、新たに付加価値を付けた後、再び輸出されるのか、あるいは消費や新たな生産工程において、国内利用されるケースである。 輸出に占める付加価値の割合が分かれば、中間財が最終目的地に到着する前に複数の国境を超えても重複計算を避けることができる。 また、各国の税関を通過する際に記録される商品価値のうち、輸出国に帰属する価値(輸入した投入財の加工による付加価値)の割合と、再輸出される輸入品の価値の割合を確定できる。 さらに、輸出産業によって加えられた直接的な付加価値と、関連企業の国内取引先による間接的な付加価値とにも細分化できる。 経済産業省は、東南アジアの産業間貿易に関する先駆的な研究を既に実施しているが、これを補完してきたのが、オランダのフローニンゲン大学主導の欧州プロジェクト、世界産業連関表データベース WIOD イニシアティブである。 WIODプロジェクトのおかげで、統計上、大幅に向上することができた。 WTOは経済協力開発機構 OECD と共同で統計・分析に関する研究を前進させるべく、研究協力を開始した。 2012年末までに方法論研究で十分な進捗が見られたため、OECDとWTOは、付加価値の観点から計測した国際貿易データベースを一般公開することを共同で決定した。 新しい貿易データから何が分かるのか まず、従来と大幅に異なる国際貿易の地図が生まれた。 たとえばサービス業はグローバリゼーションの中で目立った存在ではないといわれてきた。 今日、国際貿易において付加価値はどこから来るのか調べてみると、実はサービス業の場合が多い。 実際、サービス業は国内的にも国際的にもまさにバリューチェーンの中核を担っている。 情報技術 IT やファクタリング、マーケティング、ロジスティクス、組立・販売、アフター・サービスなどの産業サービス、商業サービスは、多くの場合、業務委託されている。 サービス業の世界貿易への貢献度が増大する一方、その分製造業のシェアは低下している。 データは何を意味しているのか まず、輸出するためにはうまく輸入する方法を知っていなければならない。 ある産業の競争力が、部品や中間財、生産チェーンを構成するサービスの費用対効果に左右される場合、バリューチェーン全体において高い業績を達成することが不可欠である。 実際のところ、一国の輸出回復力と中間財輸入を通じたバリューチェーンへの統合は、正の相関関係にある。 先進国の企業は必要に応じて競争力の高い部品を輸入することにより、真に比較優位の高い部門にその差額を投資できる。 これによって欧米諸国や日本は、雇用を減らすどころか、むしろ研究・開発、生産工学、高付加価値サービスなどと特に関連のある産業活動を維持することができている。 そして、このような活動こそが最も給与水準の高い仕事を生み出しているのである。 さらに重要な点は、世界貿易は貿易障壁の面でも変化しているということである。 従来は、関税・非関税の緊急措置(反ダンピング税やセーフガードを含む)などが、主な貿易障壁であった。 かつてはこれらの貿易障壁の問題が、国際貿易交渉における主要課題であったが、近年は技術基準、健康・安全要件、サービス規制などのいわゆる非関税障壁がこれまでになく大きな問題になってきている。 世界的な生産シェアリングの拡大とともに、グローバル・バリューチェーンのさまざまな段階を結びつける上で、製品基準やプロセス基準がますます重要になりつつある。 経済が発展し、外国との相互依存が深まり、所得が増加するにつれ、品質への関心が政策においてより中心的な役割を果たすようになる。 今日、非関税措置は裕福な国において広範に見られるが、実際のところ、この傾向はどこの国でも見られる。 品質基準への懸念は当然なことであり、貿易障壁になるからと言ってやみくもに排除できないし、するべきではない。 しかしながら、健康などの分野における政策目標達成のために講じられる措置の性格と、その実施方法によっては、良くも悪くも貿易にさまざまな影響を及ぼしうる。 非関税措置を講じることにより、その目標達成に必要最低限のコスト以上に貿易コストを増加させないことが望ましいという点には異論はないだろう。 同時に、非関税措置が国内の利益を過度に優遇するような方法で講じられるべきではないという議論も筋が通っている。 このように政策に関わる目的の複雑さを鑑みると、適切なバランスを見いだすのは容易ではない。 協力と対話が求められる。 政策が貿易に及ぼす影響:複雑化させている4つの要因 次の4つの要因は、政策による貿易への影響を複雑化している。 第1に、WTOの衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)や貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)などで対象となる技術的措置の影響は、適用方法や施行方法に大きく左右される。 事業者を対象とした調査の結果、適合性評価手順など手続き上の障害が、輸出企業にとって主な困難の原因である可能性が示唆されている。 第2に、政策自体は必ずしも貿易歪曲的、あるいは貿易制約的でないとしても、政策の本来の目的を果たしつつ、意図的に保護主義的な効果を合わせ持つように設計されている場合がある。 こうした二重目的の措置は、政策と保護主義を結びつけた手法であり、WTOにとっても重大な問題であり、貿易摩擦の火種となるケースが増えている。 第3に、保護主義的な意図がない場合でも、国によって規制上の不一致を招くような政策は、貿易のコストを大幅に増大させ、貿易の流れを減少させたり、歪めてしまう可能性がある。 国によって政策が異なる背景には、さまざまな理由がある。 異なる規制方法は、意図的というよりもむしろ、慣習や文化がその原因となっている。 また、国や地域によっても政策が異なるのは、社会的選好の違いを反映しているのかもしれない。 言いかえれば、社会によって価値体系は異なっているからこそ、アプローチの違いを調整する難しさが際立って見えるのである。 効率の悪い制度による重い負担は軽減するべきである、正当な政策介入の背後に隠されている保護主義的措置に対処すべきである、などの主張に対しては、あまり異論はないだろう。 しかしながら政策の意図する目標が国によって本質的に異なり、そのことが貿易に負の影響を与えているとしても、共通化するべきだとは一概に言えない。 もっと微妙な問題だからである。 枝葉的な相違点は極力減らしていくべきだが、政策に関する社会的選好より貿易が優先される可能性は低い。 社会的選好や目標に関して大きな隔たりがあるような場合、規制制度の調和や相互承認協定の締結を目指すことが、より適切な手段かもしれない。 ただし、貿易の公平性のためにこのような隔たりを小さくするには、多大な政治的エネルギーが必要だということは明らかである。 第4に、非関税措置が貿易に及ぼす影響の評価が難しい理由は、その計測可能性と関係している。 関税の場合、貿易への影響を評価することは比較的簡単であるが、非関税措置の場合は、はるかに難しい。 しかし、まずは透明性の向上から始められる。 私はWTO在職中、統合貿易情報ポータル I-TIP を立ち上げた。 非関税措置、関税、貿易救済措置の利用、貿易統計など、加盟国からWTOに報告されたすべての貿易関連情報にアクセスできるワンストップ・ショップである。 各国の貿易制度全体の情報に初めて、アクセスできるようになったのである。 結び 今後、非関税措置に関しては、文化の根幹に関わる問題や貿易自由化への取り組みについて、より注意深く考慮しなければならない。 今後の展望と枠組みを再定義する必要があるだろう。 一方、関税や貿易割当に関してこれまで行われてきた交渉では、関税や割り当ての段階的縮小・撤廃を長期的な目標としていた。 しかしながら健康に関する政策などは、単純に縮小したり撤廃したりできるものではない。 このように、これまでの考え方を再定義することこそが、基本的な課題である。 国内規制が貿易交渉のパワーバランスを左右する中心的な議題になった今日において、貿易自由化の目標を定め、貿易による分業のチャンスを追求するには、各国の規制制度をいつ、どこで、どのように収束させていくべきか明確に理解することが求められる。 本稿は、2013年12月18日ににて掲載されたものを、VoxEUの許可を得て、翻訳、転載したものです。

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